厄年の年齢は、人の一生の中でも、体力的、家庭環境的、あるいは対社会的にそれぞれ転機を迎える時でもあり、厄災が起こりやすい時期として忌み慎まれています。その年にあたっては、神様のご加護により厄災から身を護るため、神社に参詣をして、災厄を祓う厄祓いの儀(厄除け)がおこなわれます。
厄年の年齢は数え年で数え、地域によって多少異なるところもありますが、男性が25・42・61歳、女性が19・33・37歳などをいい、この年齢の前後を前厄・後厄と称します。この中でも男性42歳と女性33歳を大厄として、特に意識することが多いようです。数え年では、新年をむかえる正月に、新たに年齢を一つ重ねますので、この年齢が変わったときに厄祓いを行うことが多いようですが、これに関係なく誕生日など良き日柄を選び、参詣する場合もあります。また、氏神神社の祭礼にあわせて、厄年の人々が神事を奉仕し厄祓いをする例も各地にあります。
本来、厄年は長寿を祝う還暦(61歳)や古稀(70歳)などの年祝いと同じく、晴れの年齢と考えられていました。厄年を迎えることは、地域社会において一定の地位となることを意味し、宮座(みやざ)への加入や神輿担ぎなど、神事に多く関わるようになります。このため心身を清浄に保ち、言動を慎む物忌(ものいみ)に服する必要があったわけです。厄年の「厄」は、神様にお仕えする神役の「役」であるといわれるのも、こうした理由によるものです。現在では、災難が多く生じる面が強調され、その禁忌の感覚が強くなりましたが、七五三や成人式、年祝いなどとともに、人生における通過儀礼として、大切に考えられていることに変わりありません。(「神道いろは〜神社とまつりの基礎知識」より抜粋) |